仕事の悩みが尽きないと思い、手に取った書籍「世界のマネジャーは、成果を出すために何をしているのか?」を読んで感じたことや今後のやるべきことをまとめてみた。
「世界のマネジャーは成果を出すために何をしているか」を読もうと思ったきっかけ
この記事を書いている2025年現在、会社ではマネジャーという立場で仕事をしているが、最近思うことがある。
自分は会社に貢献出来ているのだろうかということ。
プレイヤー時代は現場に足を運び、日々顧客対応をすることで自分の価値を見出すことが出来ていたが、マネジャーになると社内業務に追われ社内に引き籠ることが多い。
プレイヤー時代に養われたスキルが失われているように感じる一方、マネジャーになって新たなスキルが養われているという実感はない。
「マネジャーはどんなスキルを身に付けないといけないのか」ということを考えるようになったのが、本書を読もうと思ったきっかけとなる。
本書の目次
本書の目次と概要は以下の通り。
第一章:そもそもマネジャーとは何か
第二章:マネジメントの全体像
第三章:リレート
第四章:デリゲート
第五章:キャリブレート
第六章:モチベート
第七章:ファシリテート
本書はベンチャー企業を経営する内藤さんが、ピープルマネジメントのプロのフルさんに経営についての悩みを打ち明けマネジャーとは何かを学んでいくというストーリー形式となっている。
マネジャーの役目は「同じ材料・設備・人員でなるべく多くのハンバーガーを作ること」と本書では例えられている。要するに限られたリソースでより大きな成果を上げられるよう組織をリードしていくということだと思う。
それを実現するために部下の業務を管理するわけであるが、どうコントロールするのかというと以下のような流れになる。
- リレート(関係性をつくる)
- デリゲート(委任する)
- キャリブレート(軌道修正する)
- モチベート(背中を押す)
- ファシリテート(チームワークをつくる)
(リレート)
まずは部下との関係性をしっかりと築くことから始まる。ここを疎かにするとこのあとのことが成り立たなくなるのだろうと思う。どんなに良い管理をしていても部下からの信頼を得られていなければ期待通りに動いてくれないということになる。
(デリゲート)
次に仕事を委任する。部下毎の個性を理解した上で適切に仕事を割り振る。
(キャリブレート)
そして、部下の様子を見て軌道修正を図る。
(モチベート)
合わせて部下のケアーも心掛ける。「自己効力感」という言葉がキーワードとなる。自己肯定感ではなく自己効力感。
自己効力感とは特定の仕事に対して自分なら出来ると思うこと。自尊心や自信とは違う。自尊心(自分の価値を見出す)が土台となり、その上に自信(自分ならどんな仕事でもできる)があり、さらにその上に自己効力感(この仕事をやりきれる)があるという感じ。
(ファシリテート)
組織が一つの目標に向かって行動できるようにする。
MBD(Management by Obfectives)組織目標と個人目標がリンクするようにし、その達成度を評価する。目標設定の際は議論と合意が必要。管理職が勝手に決めてやらせるということにならないように。部下の合意を得られた上で目標設定することで部下に説明責任を果たしてもらう。
本書を読んで感じたこと
正直、読んでいて微妙だなぁ…と思っていたが、しっかりと内容を整理すると割と納得感が得られる内容だったと思う。
部下との関係性の作り方
リレート(関係性をつくる)ということだが、常々漠然とではあるが考えていた。
今までは、パワハラにならずに、かつ甘やかし過ぎずに接することや、飲みの場で距離を縮める、というような発想にしかなっていなかった。改めてみると幼稚な発想だなぁと思えてくる…。
そういうことではなくて、しっかりと部下にとって納得感のある目標設定をするだとか、説明責任を持てるような慣わしを作るとか。さらには仕事のことはもちろん、プライベートのことも気遣うことでギブアンドテイク(お返ししないと…とポジティブな負い目)の精神を持ってもらうとか、そういったことで部下に自発的に仕事に取り組もうと思ってもらうことが必要なんだと思う。
あとは「目標達成に向けた活動の徹底を依頼す続ける」と本書では書かれている。この一文を読んだときに頭をよぎったのは「ほんとうに部下が仕事をしてくれないんだよなぁ…」ということ。多くの管理職は同じことで悩んでいるのではないかと思われるが、あなたはどうでしょうか。
意外と自分の頭の中では管理職の仕事はスマートなイメージがあって、指示すればするほど仕事がどんどん進んでいくようなイメージを持っていたが、現実はそうではなくて、基本的に指示通りには動いてもらえないのである。一度の指示では何も進まないというのはよくあることである。
管理職を数年やっていてわかったことは、そもそも部下は指示出しされていることに気付いていないということ。対面で話をしているにも関わらず、仕事を依頼されていることがわかっていないのである…。
管理職であればこれを部下の問題とせず自分の伝え方の問題と考えないといけない。そこで、これはどうにかならないのかと様々なビジネス書を読んだが未だ画期的な解決策は見つかっておらず、本書でもやはり「根気よく伝え続ける」という話になっている。
結局、本人の理解度を繰り返し確認することが必要になるのか。
・部下が納得する目標設定
・ギブアンドテイクの関係性の構築
・活動の徹底を継続的に伝える
モチベーションの上げ方
繰り返すが、そもそも部下が活動をしないというのが根深い問題なのである。
あなたの組織はどうですか?やる気に溢れているとまではいかないにしても、せめて仕事はやらないといけないものだと理解し動いてくれる部下はいますか?我が組織にはほぼいない(1~2名はいる)
どうすれば自発的に行動を起こしてくれる部下になってくれるのか。
この点について、本書を読んでいて思ったのは、部下に納得感を持ってもらえる目標設定をすること。先述の話と重複するがまずはこれだと思う。
目標設定のポイントはチャレンジング(挑戦的)かつアチーバブル(達成可能)であること。要するに少し背伸びをすれば届くであろう目標にするということ。
何の努力もなく達成できてしまうような簡単な目標であったり、どう足掻いても届かないような目標であってはいけない。
目新しい話でもないが、改めて認識をしたという感じ。
目標設定は、1人1人の能力差や業務の違いなどにより期待する水準が違うため、全員が同じ目標にはならず、1人ずつ違った目標設定をする必要がある。
昨今の当社管理職の業務量の中でこの負担を受け入れられるキャパがあるのかと甘えが出てしまい、目標設定が適当にならないように気を付けたい。
また、その目標が組織の中でどんな位置付けであるかを説明することも大事。
まずは組織全体の状況を説明し、そこに見える課題を解決したいから、あなたにはこうしてもらいたい、というように部下の目標達成が組織にとってどんな貢献になるのかを理解してもらうことが大事なのではないかと思う。
そうなると、管理職自身が組織の状況を把握できていないという問題が浮き彫りになるのである…。これが本当に難しい。
・チャレンジングかつアチーバブルな目標設定
・組織の全体像の把握と部下への説明
説明責任を意識してもらう
また部下からの進捗報告について、応答責任ではなく説明責任の意識を持ってもらう必要がある。
応答責任は平たく言うとこちらが無理やり報告をさせるという感じ。説明責任とは目標達成への責任を持ち自ら報告をするという感じ。
全員が同じ方向を向いて行動をしていることを自覚し、自分の業務の進捗が組織全体へどれほどの影響を与えているのかを意識できるとなお良い。と思ったがこれは自分でも難しいと思う…。あくまで理想ということで。
具体的に、その説明責任の果たし方だが、自分の組織では基本的に会議はしていない(無駄な会議になりがちなので)ため、管理ファイルに登録をしてもらっている。この書籍では進捗共有のルール化やフォーマット化によって説明責任を仕組化するとある。
この文章を書いていて、進捗共有という意味ではそれでも良いと思うが、説明責任を果たすというのとはちょっと違う気がしてきた…。やはり本人の言葉で、少なくとも上司だけでも説明はしてもらうべきではないかと考えさせられた。そうすること自体が仕事への責任を持ってくれているという意思表示になるからである。
そうは言っても、いきなり部下が自ら報告するようにはならないわけなので、まずはこちらから1on1の場を設定して部下1人1人の言葉をもらうことから進めていきたい。
・進捗共有のルール化・フォーマット化
・説明責任の意識付け(1on1にて)
まとめ:今後やること
上記にやることを書いているが、改めてここでまとめてみる。
・ギブアンドテイクの関係性の構築
・組織全体像の把握と部下への説明
・チャレンジングかつアチーバブルな目標設定
・部下が納得する目標設定
・活動の徹底を継続的に伝える
・進捗共有のルール化・フォーマット化
・説明責任の意識付け(1on1)
まずは、部下を丁寧にケアし、ギブアンドテイクの関係性を構築。部下との良好な関係性を作る。すでに日々相談は聞いているが、部下への姿勢を改めようと思う(何でもかんでも「どうしたらいいですか」と自分の考えを持たずに相談する部下が多いので「それくらい自分で考えろ!」という態度が出ていることが多々あると思われる…)
次に組織の全体像の把握。これは上司との確認も必要。まずは自分の考えを上司に提示してみようと思う。同意が得られれば部下へ目標を落とし込んでいく。
挫けずに部下へ活動の徹底を続ける。部下が不満を言う場面が想像されるので心理的にここが一番やりたくないところではあるが、仕事と割り切って継続をする。
進捗共有のフォーマット化は、本書を読んだ直後に完了している。経過観察をしながらフォーマットをブラッシュアップしていきたいと思っている。
1on1は既に少なからず実施はしている。ただ、現状は主要メンバーだけとなっているため、その他メンバーへの1on1を実施するかは考えていく。主要メンバーよりは頻度を下げたり、進捗の悪い部下を優先するなど、スモールスタートでの実施を考えていく。
半年後、1年後にここに書いたことが出来たかどうかを振り返ってみたい。